東日本大震災に係る
中小企業支援に関する要望について

東日本大震災におきましては、被災された地域の皆様に心からお見舞い申し上げます。

また、原発事故及び被災地において最前線で立ち向かっておられる方々に、心から敬意を表するところであります。

 本県におきましても、建物の損壊や生産設備の破損など大地震による直接的な被害に加え、原発事故に伴う風評被害や自粛ムードの拡がりもあり、観光地においては、入込客の激減、相次ぐ予約キャンセルにより宿泊施設は開店休業状態、市街地においても、行事・イベント・会食の中止などでホテル・飲食店の利用者が激減するなど、間接的な被害も全県に拡がっております。

大震災の県内中小企業への影響は日を追うごとに大きくなってきており、各商工会議所には、会員企業等から、経営を存続するための既存借入の条件変更や運転資金の相談等が数多く寄せられているところでもあります。

被災された方々への支援、被災地の復旧・復興は、国を挙げて優先して取り組まなければならないことは当然でありますが、そのためには、日本の全ての地域の経済が元気を取り戻すことも大切なことであります。

つきましては、本県中小企業者が経済活動を継続し、復興支援に向けた活動に貢献していくことができるよう、下記事項について特段のご配慮をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。


1 中小・小規模企業に対する金融支援

大震災の影響を直接的・間接的に受けている中小・小規模企業の資金繰り対策として次の緊急的な金融支援措置を講じられたい。

ア 新規融資の要件並びに既存借入金の返済猶予、返済条件の変更については、民間・公的金融機関を問わず可能な限り柔軟に対応されたい。

イ 直接的・間接的に影響を受けた企業が新規融資を受ける場合の災害関係保証については、信用保証協会のセーフティネット保証とは別枠で対応されたい。

 小規模事業者経営改善資金(マル経融資)について、融資利率の更なる引き下げ、短期間での複数利用(貸付上限内)など利用要件の緩和を図られたい。

    併せて、直接的・間接的な被害の区別なく、風評被害等も対象とした災害マル緊支援資金を、マル経融資とは別枠で設置されたい。

エ 災害に関する貸付等の融資業務については、事務の簡素化を図り迅速に対応するよう指導願いたい。

オ 栃木県においては、創設された「東北地方太平洋沖地震緊急対策資金」について、据置期間を2年に延長するとともに、融資利率の引き下げを図られたい。

 

2 風評被害の防止

  ? 正確な情報の提供

福島原発事故による風評被害が海外にまで拡大しているが、これは放射性物質に関する調査結果等の情報が、正確に伝わっていないことが主な原因になっている。

   ついては、国内はもとより、海外に対しても正確な情報の開示と、分かりやすい説明を徹底されたい。


 ? 食の安全安心対策の推進

   放射性物質の拡散は、食の安全に対する消費者不安の連鎖を招き、農業だけでなく、他産業にも大きな影響を及ぼしている。

   ついては、農産物を始めとする食品の検査・監視体制の一層の充実強化と、より正確で迅速な情報の提供に努められたい。

 

3 中小・小規模企業の雇用維持のための支援強化

雇用調整助成金の特例措置は災害救助法適用地域内に限定されているが、風評被害や自粛ムードの拡がりにより、観光地においては、開店休業状態の宿泊施設が増えているなど県内全域に間接的な被害が拡がっている。

ついては、雇用調整助成金の特例措置の更なる要件緩和を図られたい。

 

4 電力不足問題への対応

電力不足問題への対応については、商工会議所会員企業においても積極的に節電に取り組むとともに、夏に予想される深刻な需給ギャップへの対応についても検討を進めているところである。電力不足の影響は業種・業態により大きく異なり、個々の事業所の経済活動への影響を最小限にとどめるための具体的対策も、多種多様な形態が考えられるところである。

ついては、国等による需要抑制のための対策の策定に当たっては、各事業者や各業界等の節電目標達成に向けた様々な工夫、取組みの実施を下支えするような配慮をお願いしたい。

また、必要に応じた規制緩和など節電計画推進のための環境整備についても検討されたい。併せて、現在の中小企業の厳しい経営環境に鑑み、電気料金の負担軽減についても配慮されたい。

 

5 復興に向けての消費マインドの回復

被災者の緊急支援、被災地の復旧については、国内外の多くの人たちの寄付やボランティア活動の力も加わり、その動きは活発化してきているところであるが、復興については、政府の復興構想会議の初会合がつい先頃開催されたばかりであり、被災地が復興し、震災前の経済活動に戻るまでには、まだまだ長い期間を要すると思われる。

また、復興事業のためには膨大な経費も要するものであり、寄付等だけで賄えるものではない。

復興事業をスピードアップしていくためには、大きな直接的被害を受けていない地域の経済を活性化させ、被災地への経済的支援を長期継続していくことが不可欠である。  

このような中、いわゆる“自粛ムード”が漂っていることもあり、消費マインドは震災以来、冷えたままの状態が続いており、本県においても前文に記載したとおりの経済状況にある。

ついては、復興事業推進のためにも、国内の消費マインドを回復するための方策を早急に検討、実施されたい。

 

6 復興支援のための予算措置

復興推進のための財源確保の手法については、様々な議論がなされているところであるが、先般、政府は平成23年度予算について、公共事業費の5%執行留保の措置を示した。

被災地の復旧・復興は、何にも増して優先して取り組むべきものであるが、未だ大きな余震が各地で続いている中、東日本大震災の被災地以外の地域においても、安全・安心の国土づくりを進めていかなければならない。また、民のかまどを暖かくすることが復興の第一歩であるとの考え方もある。

ついては、公共事業費の執行留保を直ちに解除するとともに、消費マインドをさらに冷え込ませることのないよう、増税など、国民に大きな負担を強いる財源確保策の実施については、経済への影響を十分に見極めたうえで対処されたい。

 

7 事業用建築物の耐震診断、耐震改修に係る支援

今回の震災を受け、会員企業等からは、持続的な事業経営や労働者の生命と安全確保のために、耐震診断、耐震改修を早急に行いたいとの相談が数多く寄せられている。

ついては、事業用建築物における耐震診断及び耐震改修工事に対する助成制度を創設されたい。